8日に行われた米メジャー・リーグの2013年ドラフト会議で、NLのアリゾナ・ダイヤモンドバックスが34巡目に車椅子の選手を指名した。球団がみせた心温まるジェスチャーに、野球の本場アメリカでは称賛の声があがっている。
今回バックスから指名を受けたのは、アリゾナ州立大学のコーリー・ハーンさん。高校時代はU-18アメリカ代表に選ばれるほどの有力選手だった。卒業後にメジャー球団から誘いを受けるも、進学の道を選び、スポーツの名門アリゾナ州立大学に入学する。
▼高校最後の年には、カリフォルニア州の「ミスター・ベースボール」に選ばれた
脊髄損傷、胸から下が麻痺
明るい未来を確実視されていたハーンさんだったが、大学入学早々、選手生命を断ち切る悲劇に見舞われることに。シーズンが始まってからわずか3試合目のことだ。 ハーンさんが2塁ベースにヘッドスライディングした際に、頭を野手の膝に激しく打ちつけ、脊髄を破損する大怪我を負ってしまった。
彼は当時の状況を次のように語る:
「気がついたら横たわっていて、ボールが外野に抜けていくのが見えた。『よし、起き上がって3塁にいこう』と思ったが、体が反応しないんだ。起き上がれなかったんだよ」
怪我の後遺症で、ハーンさんの体は胸から下が麻痺。輝かしい野球人生は突然の終わりを告げた。
コーチとして再びフィールドに
ハーンさんは諦めなかった。家族に支えられながら学業とリハビリに励み、怪我からわずか1年後にコーチとしてフィールドに復帰する。
そして迎えた8日のMLBドラフト。ハーンさんの野球に対する情熱が実り、失われたかのようにみえた幼いころからの夢は実現した。バックスの指名発表後、ハーンさんはTwitterで朗報を共有。「バックスにはどれだけ感謝しても足りない。永遠に感謝する」と喜びを表した。
バックスは、ハーンさんを正社員で迎え、チーム運営やスカウトとして活躍してもらうつもりだとしている。
ハーンさんは米ABCの取材に対して次のように語った:
「毎朝起きて、自分の持てるすべてを捧げなくてはならない。物事を当たり前だなんて考えないで。僕がその生き証人だからね」
Thumbnail:「https://twitter.com/Coryhahn34」
ソース:「ABC News」
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