ラスタを理解する上で知っておきたい7つのこと

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ラスタ

「ラスタ」というとどんなことが思い浮かびますか。ジャマイカにドレッドロックス、レゲエミュージックにボブ・マーリー?

4月21日は「Grounation Day」と呼ばれるラスタにとって非常に大切な祝日です(ハイレ・セラシエがジャマイカを訪問した記念日)。そこで今回は、ラスタ思想を理解する上で大切な基礎知識を7つ紹介します。

1.ハイレ・セラシエ1世は救世主

ハイレ・セラシエ1世

この考え方こそがラスタ思想の中枢にあるもので、ラスタファリ運動の原点でもある。

1920年代、ジャマイカの黒人民族主義指導者だったマーカス・ガーベイが「もうすぐ黒人の王がアフリカに現れ、その男は救世主となる」という言葉を残した。そのわずか数年後の1930年、ハイレ・セラシエ1世(本名ラス・タファリ・マコンネン)がエチオピアの皇帝に即位する。

「預言が的中した」と考えたガーベイ信奉者達は、ハイレ・セラシエ1世を「救世主=キリストの再臨」として崇めるようになり、そこからラスタファリ運動が始まった。

▼マーカス・ガーベイマーカス・ガーベイ

ただし、ラスタの人たちがガーベイの預言だけを根拠に、ハイレ・セラシエをメシアだと祭り上げていたわけではない。セラシエが旧約聖書に登場する古代イスラエル・ソロモン王の末裔であるとする説など、他の角度からも皇帝とイエス・キリストとの繋がりを信じた。

ただハイレ・セラシエ本人は、自分のことをイエスの生まれ変わりとは考えていなかったようだ。

参考:Wikipedia

2.「ラスタ = マリファナ」ではない

ガンジャ ラスタby imilyas via Flickr

大麻を神聖な植物としていることから、サブカル的な面でラスタファリに傾倒したり憧れる若者が結構いる。しかし、ラスタにとってガンジャ(マリファナ)の使用は必須でもなければ、思想の中枢を担うものでもない。むしろまったく大麻を吸わないラスタマンもいるほどだ。

最近では、米人気ラッパーのスヌープ・ドッグがラスタへの信仰心を表すため「スヌープ・ライオン」に改名したが、ラスタコミュニティーからは「マリファナ愛を正当化したいだけだろう」といった多くの批判の声があがった。

もちろんスヌープが本気で信仰している可能性もあるが、そこはたいして重要ではない。すでにラスタには「大麻教」といったステレオタイプが根付いているせいで、なかなか一般社会に真面目な思想として受け入れられないという問題を抱えている。そこへマリファナ大好きで知られるスヌープのような著名人が広告塔を務めることで、ラスタに対する偏見がされに広がるのではないかと危惧する人もいるわけだ。

3.アイタルフード

アイタルフードby Chrysaora via Flickr

ラスタには「アイタル(Ital)」と呼ばれる特有の食文化がある。語源は英語の「vital(生命)」。基本的にベジタリアニズムやヴィーガニズムと似ているところがあり、自然から採れる健康的なものだけを食べようという主義だ

まず加工食品はタブー。それから体内で腐敗するという考え方から、赤肉も食べない。魚は旧約聖書で大丈夫だとされているため食べる人が多い。ただし、人によっては魚すら口にすることを拒み、純菜食主義のような食生活を送る人もいる。

4.体は神殿なり

ドレッドロックスby sullen_snowflakes via Flickr

ラスタは人間の肉体を「神殿」と考えている。アイタルフードにも表れているように、体を最良に保つためのケアを怠らない。

食生活以外にも、髪は自然のままに伸ばすという決まりがある。「頭髪にハサミや剃刀、ブラシなど非天然なものを使用してはならない」とする考え方で、これがラスタにとっての「ドレッドロックス」だ。

これらすべては「自分の肉体を神殿のように、あるがままに敬うべき」という思想に基づいている。散髪をしない、タトゥーを入れない、体に悪いものを食べない…。健康を害するという理由から、マリファナを使用しないラスタファリもいるという。

5.ラスタカラー

ラスタカラーby greentarade via Flickr

レゲエファッションやボブ・マーリーでお馴染みのラスタカラー。黒、赤、緑、黄色の4色で組み合わされており、それぞれの色にはちゃんとしたシンボル的な意味が込められている。

  • 黒 – 解放のために戦った黒人戦士
  • 赤 – 戦いで流れたラスタたちの血
  • 緑 – 故郷ジャマイカの豊富な自然
  • 黄 – 楽園アフリカの富

▼エチオピア帝政時代の国旗エチオピア帝国国旗

もともとラスタカラーは、マーカス・ガーベイが指揮したアフリカ回帰運動のシンボルである赤、黒、緑をルーツにしている。その後、ハイレ・セラシエがエチオピア皇帝に即位した際に、赤、緑、黄色のエチオピア国旗から黄色を取り入れ、現在の4色ラスタカラーとなった。

6.ラスタ英語

ラスタ英語by corie.bidgood via Flickr

ジャマイカには、英語とアフリカ言語をベースにした「ジャマイカ・クレオール語(パトワ)」という方言がある。アフリカから奴隷としてジャマイカに連れてこられた黒人移民たちが使用した言葉だが、ラスタファリの先人たちはこのジャマイカ・クレオール語に変更を加え、「Lyaric」と呼ばれる独自の言葉を作りだした。

最も重要なコンセプトは人称代名詞で、meやyouを“I”と言い換える。これは人間のつながりを表現したり、お互いの人間性を認識し合うために用いられているという。また特定の単語にはラスタの信念を反映させ、よりポジティブな形に変更されている。

「Lyaric」の主な特徴は次の通り(Wikipediaより抜粋):

  • “me”や”you”、”we”といった人称代名詞を”I and I”と言い換える。
  • 特にI(アイ)は重要な単語で、”Ras tafari”を”Rasta-far-I”(ラスタファーライ)、”Selassie”を”Selassi-I”(セラシアイ)と発音する。
  • “understand” を “overstand”と言い換える。”under-“という部分を嫌ったため。
  • “dedication” は “livication”と言い換える。”dedi-“が”dead”(死)を連想させるため。
  • “oppression”(圧迫の意味)は、より権力者の力を強調するために”downpression”と言い換える

7.アフリカ回帰

アフリカ回帰by SteveMcN

ラスタファリの思想や主義は旧約聖書に大きく影響を受けているが、「楽園」については彼ら独自のアイデアを持っている。

先祖たちが奴隷として故郷から強制的に連れ去られたことから、ラスタファリたちは今いる場所を「本来居るべきではない地獄」と考えている。彼らにとってはアフリカが「ザイオン」であり、アフリカが地球上の楽園。「アフリカ回帰」こそが多くのラスタたちにとっての究極的なゴールなのだ。

これは宗教的な信念というよりも、文化的・人種的な切望であり、黒人奴隷たちが直面してきた植民地主義による圧迫を考えると非常に筋が通っている。

そしてラスタが目指すところは、単にアフリカに帰るだけでなく、アフリカをより良い土地に変え、アフリカの文化を保護し、西洋社会(ラスタのいうバビロニア社会)が奪い去ろうとした彼ら本来の生き方をまっとうすることにある。 

Thumbnail by Roberto Trm via Flickr

参考記事:「ListVerse

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