【哲学】考え出すと眠れなくなる不思議なパラドックス5つ

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パラドックスとは、正しそうに見える前提と推論から、矛盾した結論が得られる事。いわば、抜け出すことのできない思考の迷宮です。

パラドックスは、「ジレンマ」や「論理的な矛盾」とも呼ばれ、とにかく考え出すと頭がショートしそうになります。でも考えるのが楽しい、友達に話したくなる!そんな難解かつ摩訶不思議なパラドックスを5つ紹介します。


1.親殺しのパラドックス


親殺しのパラドックス

タイムマシンが存在するという前提。「もしあなたが過去の世界にタイムトラベルして、祖母に出会う前の祖父を殺害するとどうなる?」

矛盾 :

  1. 祖父の殺害に成功した時点で、あなたの両親のどちらかが生まれてこなくなる。よってあなた自身も存在しないことになる。
  2. しかし、これによってあなたはタイムマシンに乗って祖父を殺しにやってくる事ができなくなり、やはり祖父は死なず両親が生まれてくることになる。
  3. そうなると、あなたが生まれてくることになり、タイムマシンで祖父を殺害しにくることが可能になる…

このように無限ループが生まれる。このパラドックスはタイムトラベルが絶対に不可能だとする理論として使われてきた。

解決策:

ひとつは、「過去は決して変えられない」とする決定論。たとえ時間を遡って祖父を殺そうとしても、必ず失敗する。時間線は完全に首尾一貫しているものであり、あなたが過去に戻るということも、すでに歴史に刻み込まれているとするものだ。つまりこれは、絶対的な運命が存在するという理論で、自由意思の概念と矛盾している。

もう一つは、「タイムトラベラーが過去を変えた時点で別宇宙が発生する」とするパラレルワールド論。過去に戻って祖父を殺害しても、それは無数にあるうちの一つの別宇宙で起きた出来事で、あなたがもといた世界には何の影響も与えないという考え方だ。


2.人食いワニのジレンマ(ワニのパラドックス)


人食いワニが子供を誘拐して、その母親にこう告げた、「これから私がすることを言い当てれば、子供は無事に返してやる。不正解なら食べてしまう」。

このとき母親が「あなたはその子を食べてしまうでしょう」と答えた場合どうなる?

矛盾:

  1. ワニが子供を食べてしまう場合、母親の予想が当たったことになる。よって子供を返さなければならなくなる。
  2. ワニが子供を返すと、母親の予想が外れたことになるため、ワニは子供を食べてもよい。しかしそうすると、結果的に母親の予想は正しかった事になるため、結局返さなくはならない…

無限ループがスタートする。

解決策:

なし。ワニが「食べる、食べない」のどちらを選択しても、矛盾が生じる結果になる。


3.全能の逆説


全能の逆説

全能者(いわゆる神)に理論を適用する際に生じる逆説。

神は全能であるか?ならば、“何者にも持ち上げることのできない重さの石”を作り出すことは可能か?

矛盾:

  • もし神が、何者にも持ち上げられない石を作ることができるのなら、神自身もその石を持ち上げられないことになるので、神は全能でなくなる
  • もし、そのような石を作れないのなら、その時点で全能ではない

どちらを選んでも、「不可能なことがある」という結果にたどり着く。「全能など、この世に存在しない」ことを証明するためによく用いられる逆説だ。

解決策:

一般的な回答は、「神は理論を超越した存在」とする考え。

全能は理論的に不可能な事をなし得る。神は「四角い円」さえも作ることができ、理論的な枠組みに囚われない能力を持つ。

  1. 神は全能であるため、自分自身で動かすことのできない石を作ることができる
  2. 神は全能であるため、不可能を成し遂げるために必要な力を発揮することができ、石を動かすことができる

この回答を用いれば逆説は解消できるが、論理という形式自体を無意味なものにしてしまう。


4.エピメニデスのパラドックス


エピメニデスのパラドックス

昔、エピメニデスという名の預言者が次ように述べた、「クレタ人は、みなうそつき、たちの悪いけもの、なまけ者の食いしんぼうだ!」。ちなみに、エピメニデス自身もクレタ人である。

この時、預言者が言った「クレタ人はうそつき」は真実か否か?

矛盾:

  1. 真として捉えた場合、「クレタ人はみなうそつき」になる。しかし、エピメニデス自身も「うそつきのクレタ人」なので、彼の言葉自体を嘘と考えることができる。よって、この文章は偽となる
  2. 次に偽として捉えた場合、「クレタ人はみなうそつきではない」つまり「クレタ人はみな正直者」になり、エピメニデスも正直者と考えることができる。よって、彼の言った「クレタ人はみなうそつき」は本当のことになるので、この文章は真となる

このように、「真と偽」を無限に繰り返すパラドックスが生まれる。

解決策:

言葉の解釈の仕方によって、パラドックスを解消することができる。エピメニデスの言葉を偽とした場合、「クレタ人はみなうそつき」の否定が、必ずしも「クレタ人はみな正直者」となるわけではない。「クレタ人がみな嘘つきというわけではない」→「クレタ人には嘘つきも正直者もいる」という風に解釈することも可能だ。

エピメニデスが自分以外に正直者のクレタ人を1人でも知っていたとすれば、彼の言葉はパラドックスではなく、単なる嘘になる。


5.砂山のパラドックス


1億粒の砂からなる「砂山」から1粒だけ取り除いても、それは砂山のままである。これを繰り返して、1粒ずつ取り除いていくと、最終的にどうなるのか?

矛盾:

まず、2つの前提をたてる

  1. 砂山は膨大な数の砂粒からなる
  2. 砂山から1粒を取り除いても、それは砂山のままである

砂山から一つずつ砂粒を取り除いていき、最終的に1粒だけ残ったとすると、これを砂山と呼ぶべきかどうか?「前提1」を真とすれば、1粒しかない状態は「砂山」ではない。しかし、「前提2」を真とした場合、このような状態も「砂山」と呼べる。ここで矛盾が生じる。

解決策:

最も一般的な回答は、「これ未満は砂山でない」という境界線を設定すること。例えば、1万粒を下限として、それ未満になった時点で「もはや砂山ではない」とする。

ただしこの解決策は、数学的に線引きしただけで、感覚的には納得しがたいところがある。9999粒と10000粒ではほとんど違いがないからだ。

「砂山」という曖昧な言葉の定義に、誰もが合意すると仮定するため生じるパラドックス。


ここで紹介したパラドックスの解決策を知っている人は、ぜひ教えてください。

Images via WikimediaCommons

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