「末期がん患者の人生最後の願いごと」、みんなの力で夢の結婚式とハネムーンが実現する

脳がん

重度の脳がんを患い、あとわずかな命しか残されていないノーラン・キーンさん(28)。彼の人生最後の願い事は、長年の恋人と結婚式を挙げ、ハネムーンに出かけること。そんな彼の願いが、人びとからのあたたかい寄付金や助けの手により、理想の形で実現した。

決して先が長くないと知りながらも、最後まで人生を分かち合おうと決めた2人の感動のストーリーが話題になっている。

脳がんと闘病生活

2008年、キーンさんは24歳という若さで脳がんのステージ4と診断された。当初はあと1年もつかどうかと医者に告げられていたそうだが、それから4年余り、さまざまな治療を受けながらなんとか命を繋ぎとめている。その苦しい闘病生活をいつも側で支えてきたのが、恋人のモーガン・カルステンスさん。

4Image:GiveForward.com

2人が出会ったのは高校生の時。年上のキーンさんが、近くの学校に通っていたカルステンスさんをダンスに誘ったのがきっかけで交際がはじまり、以来11年間2人はずっと寄り添ってきた。

キーンさんの脳がんが発覚したとき、カルステンスさんは介護に専念するため、すぐにナースの仕事を休職。キーンさんの家族と共に移り住み、着替えやシャワーの手伝いなど身の回りの世話を献身的にこなしてきた。「考えるまでもなかった。彼が私を必要としてたから…」、彼女はそう語る。

プロポーズ

昨年の11月、治療の合間を縫って、2人は家族と共にディズニーワールドを訪れた。キーンさんにとってディズニーワールドは、子供の頃の夏休みに毎年訪れていた思い入れの深い場所だ。彼はこの日、カルステンスさんにプロポーズした。キャッスルのイルミネーションをバックにした、とてもロマンチックなプロポーズだったという。

3Image:GiveForward.com

しかし、そんな2人の幸せを打ち壊すかのように、がんの魔の手は容赦なく襲い掛かる。

病状は悪化の一途

度重なる手術やキモセラピーも報われず、キーンさんの病状は悪化する一方。最近のMRI検査では、癌が脳のいたるところに転移していることがわかり、医者からは「もうやれることはほとんど残っていない」と告げられた。おそらく2014年を迎えることはないだろうと…。

2Image:GiveForward.com

いよいよ先は長くない。キーンさんの心残りは、彼女にウェディングドレスを着せてやれないこと、ハネムーンに連れて行ってやれないことだ。その切実な思いを汲んだ家族や友人は、2人に最高の最後をプレゼントしようと動き出した。

夢の結婚式

なんとか2人には理想の結婚式とハネムーンを送ってもらいたいが、とてもそんな余裕はない。そこでカルステンスさんの家族は、ソーシャルメディアを通して周囲の人に援助を求めることに。さらに、医療系のファンドレイジングサイト「GiveForwar.com」でキャンペーンを立ち上げ、2人をハネムーンに送るための寄付金を募った。すると思いもよらないミラクルが起こる。

寄付金キャンペーンを立ち上げてから間もなくのこと。シカゴの地元紙「Chicago Sun-Times」が2人のストーリーを取り上げ、そこから話が一気に拡散。キャンペーン開始からたったの4日で、当初の目標額の2万ドルをはるかに上回る6万ドルが全米各地から寄せられた。

現在、寄付金は7万ドルにまで達している。「気にかけてくれる心の温かい人たちがこんなにたくさんいるということに心を打たれた」、想像以上のあたたかいサポートを受けた2人はそう語った。

結婚式の方も、親しい友人たちからの花や食事の寄付に始まり、ついには地元のウェディングプランナーが無償でサービスを提供したいと申し出たそうだ。メイクアップやヘアスタイリストだけでなく、料理や写真撮影まで、あらゆることが2人のために用意された。

そして3月9日、ついに2人は大切な人たちに囲まれながら、夢に見た理想の結婚式を挙げることができた。

結婚式brooke alaina photography(Facebook)

2人は3月末にハネムーンを計画している。行き先は、キーンさんがプロポーズしたディズニーワールド。余った寄付金は、キーンさんの治療費や自宅を車いすフレンドリーに改築する費用に使う予定らしい。

ウェディングbrooke alaina photography(Facebook)

「今回の経験で、人生を違った角度から見れるようになりました。心から感謝しています」、結婚式を終えたカルステンスさんはそう語った。

参考記事:「SunTime」、「ABC

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