エクアドル政府がジュリアン・アサンジの亡命を認める、英国「認めない」

ジュリアン・アサンジ
photo by acidpolly

エクアドル政府は16日、首都キートで記者会見を開き、機密告発サイト「Wikileaks(ウィキリークス)」の創設者ジュリアン・アサンジ氏を政治亡命者として受け入れる旨を正式に発表した。

現在アサンジ氏は、ロンドンのエクアドル大使館内で約2か月に渡りかくまわれている。この日、エクアドル大使館の前には大勢のウィキリークス支持者たちが集まり、数人がロンドン警察に逮捕された。

■アサンジを巡り対立する英国とエクアドル

パティニョ外相は記者会見で、アサンジ氏の身柄引き渡しを求める英国からの圧力に屈しない強固な姿勢を見せた。発表の直前、エクアドルのラファエル・コレア大統領は、「誰にも我々を威嚇させはしない!」というメッセージを発している。

パティニョ外相は英政府に対して、アッサンジ氏の出国許可を求めた。しかし英国側は、「スウェーデンに引き渡す法的義務がある」として、あくまでも同氏を逮捕して出国させないつもりだ。アッサンジ氏は、婦女暴行事件をめぐる一件で、スウェーデンから身柄を求められている。

アサンジ氏に近い人物が『ニューヨーク・タイムズ』紙に語ったところによると、アサンジ氏が何としてもスウェーデンへの移送を避けたい理由は、そのまま米国に送還されてしまう恐れがあるからだという。エクアドル政府が亡命を許可した理由もここにある。パティニョ外相は記者会見で、「英、米、スウェーデンの政府から(そうならないという)保証が得られなかったため、今回の決断を下した」と語った。

アサンジ氏が米国に送還された場合、米政府の機密情報を大量に流出させたことで数々の重罪に問われることは避けられないだろう。ウィキリークスは2010年、イラク・アフガニスタン戦争に関するアメリカの機密資料・外交公電などを暴露し、大きな波紋を巻き起こした。

エクアドルの決断に対し、英外務省報道官は「残念だ」と述べたが、英政府はエクアドル大使館の外交特権を剥奪する可能性をちらつかせ、何としてもアサンジ氏の身柄を拘束するという姿勢を明白にしている。念願の亡命許可を手に入れたアサンジ氏だが、このままではエクアドルに出国するどころか、大使館の外に出ることすら難しい。

パティニョ外相は発表前日の15日、英政府から「アサンジを引き渡さなければ、容疑者逮捕のため警官が大使館内に突入する」という警告を受けたことを明らかにし、次のように述べた:

我々は、英国政府から明確な脅迫ともいえる書簡を受け取った。もしわれわれがアサンジ氏の身柄引き渡しに応じない場合、英国はエクアドル大使館を侵害するという内容だ

さらに外相は、「エクアドルは英国の植民地ではない」と 強調した。

アサンジ氏が、スウェーデンへの移送を避けるため、エクアドル大使館に逃げ込んだのは6月19日のこと。それ以来、彼は建物の一室に引きこもりっぱなしの生活を送っている。最近彼のもとを訪れた人物によると、アサンジ氏はもともとオフィスだった小部屋に空気マットレスを敷いて眠っているという。ネットへのアクセスがあり、そこからウィキリークスの管理を続けているようだ。

また、近くのレストランから食事が配達されているのを目撃した記者もいる。

「どうして亡命先をエクアドルに選んだのか?」という疑問の声も多くみられる。確かウィキリークスは、「報道の自由」と「情報公開」を信念に掲げているはずだと。報道の自由とは対照的に、エクアドルのコレア大統領は自国でジャーナリストの一斉摘発を指揮した経験を持っている。

ソース:「www.nytimes.com

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