オーストラリア・ニューサウスウェールズ州で牧場を運営するケン・ターナーさんは今年5月、現地の動物虐待防止王立協会(RSPCA)から訪問調査を受けた。
調査の理由は、「羊毛刈りの際に、作業員が羊を汚い言葉で罵っていた」という報告を受けたからとのこと。国際動物愛護団体PETAが、“暴言”の証拠映像を持って、RSPCAに苦情を申し立てたらしいのだ。どうやら牧場に潜入したスパイが隠し撮りしたものらしい。
牧場主のターナーさんは困惑した。羊が人間の言葉に傷ついている?なんでもPETAによると、罵倒は羊に精神的な苦痛を与えるそうだ。
「羊が私に文句を言いに来たことは一度もないし、罵られたからといって傷ついたような素振りをみせたことさえない」、地元のラジオ番組に出演したターナーさんはそう語る。
「羊たちはただ熱心な眼差しでパドックへと歩いていくだけさ。ストレスを感じているような様子は一切なかったよ」
ターナーさんはPETAが提示した証拠映像をまだ確認しておらず、どんな暴言が苦情の対象にされているのかさえもわからないという。
この件について、現地RSPCAの責任者であるスティーブ・コールマン氏は、「レアなケースだが、調査員はまじめに取り合い、その結果、苦情を却下した」と地元メディアにコメントを残した。
「どんな言葉が使われたのかは問題ではないと思う。動物はその言葉を理解できない」
牧場主のターナーさんは、PETAの苦情によりRSPCAのリソースが無駄遣いになったことに憤りを感じているという。「調査すべき適切なケースが他にあったかもしれないということを考えると、残念で仕方がない」とコメントした。
世界各地で動物愛護の活動を展開するPETAだが、斜め上すぎる苦情で話題になることもしばしばある。『Telegraph』によると、つい最近にも、8世紀から続く英国で最も古いパブ「Ye Olde Fighting Cocks」(闘鶏の意)に対して、ニワトリへの思いやりを示すために名前を「Ye Olde Clever Cocks」(賢い鶏)に変更せよ、と抗議の手紙を送り付けたらしい。
他にもPETAは、スーパーマリオのタヌキスーツやポケモンに対しても抗議活動を行ったことがあった。
ポケモン抗議ページの冒頭文:
「何世代にもわたり、ポケモンは残忍なトレーナーの手によって苦しめられてきました。ピカチュウや彼のポケモンフレンズを開放するため、PETAに力を貸してください」
参考記事:「couriermail.com.au」
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