猫が市長に立候補!?そんなファンタジーに満ちた話が、メキシコ東部のハラパ市で実際に巻き起こっている。
同市で7月に行われる市長選に名乗りを上げたのは、白黒猫のモリス(♂)。現市政に不満を抱く市民たちから絶大な支持を集めている。スローガンは、「ネズミにうんざり?猫におまかせ」だ。
モリスを擁立した飼い主のSergio Chamorroさんは次のように語る:
「モリスは1日中寝ているだけで何もしない。政治家にぴったりでしょう」
もちろん猫には政治なんかできないし、市長になる法的権利も与えられていない。モリス出馬の狙いは、「崩壊した市政」や「約束を守らない政治家」に対する皮肉で、積もり積もった市民の不満をぶつけようとするキャンペーンだ。
▼オバマのキャンペーン風にアレンジしたモリス選挙ポスター
麻薬戦争と警察の腐敗
ハラパ市は、メキシコ東部ベラクスル州の州都で、約45万人が暮らしている。ここ数年の間、同州の市民たちは、麻薬カルテルによるバイオレンスや警察の腐敗、政治汚職に悩まされ続けてきた。組織の悪事を追求したジャーナリストたちが殺害されるという事件も多発しており、理想の街とは程遠い状態にある。
ハラパ市で大学教授を務めるジョバァーナ・マゾッティさんは、「この州には法律や人権に対する尊敬の念がない。社会的秩序が存在しない」として、市政の現状を危惧している。彼女もモリスキャンペーン支持者のひとりだ。メディアの取材に対して、「選挙の度に政治家たちは私たちをあざ笑うのだから、少しはやつらを嘲笑してやればいい」と語った。
▼招き猫も全力で応援: モリスのFacebookページに投稿された1枚
ネット上で絶大な支持
ネット上での積極的な選挙運動の効果もあってか、モリスの人気は日に日に増す一方。モリスのFacebookキャンペーンページは、現時点で11万以上の「いいね!」を獲得しており、ネット上での支持者数は他の候補者をはるかに上回っている。
さらに、地元メディアが取り上げたのをきっかけに、メキシコだけでなく世界中から注目を集めるようになった。モリスのキャンペーン・マネージャーは、投票用紙にモリスの名前、もしくは猫の似顔絵を描くよう、支持者たちに呼びかけている。
予想以上の人気に事態を重くみた州選挙当局は、猫のために投票を無駄にしないよう有権者たちに訴えかけた。モリスの名前で投票した場合、その票は無効になるとしている。
市長選の投票日は7月7日。どのような結末が待ち受けているのか…。
※ ※ ※
モリスの市長選出馬を受け、メキシコ全土の他の選挙区でもペットや家畜の立候補者が続出している。例えば、「ロバのチョン」(シウダー・フアレス市)、「ニワトリのティナ」(テピク市)、「犬のティントン」(オアハカ市)など。
- 参考記事:「news.yahoo.com」
- Screenshot via facebook.com/elcandigatomorris
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