「蚊を介してHIVに感染する恐れはある?」、そう不安に思ったことはないだろうか。HIV感染の原因の一つに、注射器共用による「血液媒介感染」がある。「蚊の針も注射針と同じように血管に入るのだから、やはり感染するのでは…」という考えに至っても不思議ではない。
米国疾病予防管理センター(CDC)のウェブサイトによると、蚊を介してHIVウイルスに感染する可能性はないという。
CDCは次のような根拠を挙げている:
- 蚊は血を注入しない:
蚊が人を刺すときに注入するのは、血ではなく唾液。血が固まるのを防いで、効率よく吸うために唾液を注入する(虫刺されが痒くなる原因)。一方で、マラリアや黄熱などは、蚊の唾液を介して人に感染する。 - 蚊は満腹時に食事しない:
蚊は通常、最初に吸った血を消化・吸収し終わってから、次の人を刺しにいく。よって、蚊に刺されても前の人の血が直接注入されるようなことはない。 - HIVは蚊の体内で増殖しない:
HIVウイルスはとても繁殖力が弱く、昆虫の体内ではすぐに死滅してしまう。もしHIV感染者の血を吸ったとしても、その蚊自体がウイルスに感染することはなく、消化・吸収した血液内のウイルスが唾液腺に移動することもない。よって蚊に刺される際に注入される唾液からHIVに感染する可能性はないとされる。
またCDCや他の団体は、長年に渡りHIVが蔓延する地域などで調査を行ってきたが、蚊を介して感染したという報告例はまだ一件も出ていない。
- ソース:「米国疾病予防管理センター」
- Image:「by naturegirl 78 via Flickr」
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