「死んだ恋人は架空の人物だった」、ノートルダム大アメフト選手の脳内彼女騒動

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死んだ恋人は架空の人物、米ノートルダム大のアメフト選手の騒動

昨年の秋のこと。恋人を病気で亡くした米大学アメフト選手が、直後の試合で大活躍し、チームは見事勝利…!!

アメリカ中のスポーツファンを感動に包み込んだ美談だったが、先日になり、死んだ恋人など最初から存在しないことが明らかとなった。この何やらよくわからない話に、アメリカのソーシャルネットワークが沸いている。

アメフトスターの感動秘話は捏造?

今話題の渦中にいるのは、ノートルダム大のメンタイ・テオ(Manti Te’o)選手。今シーズンの「ハイズマン賞」(最優秀選手賞)の候補に挙げられていたほどの有力ラインバッカーだ。

彼は昨年の秋、恋人と祖母が同時期に亡くなったことをメディアに明かした。恋人の名前はLennay Kekuaさん。スタンフォード大卒の22歳で、9月に白血病のため他界したとされている。Kekuaさんが亡くなったとされる日、テオ選手は彼女のTwitterアカウントに向けて「君がどこに居ても僕はずっと一緒だから」というメッセージを送っている。

最愛の人を失うという悲しみの中にありながらも、テオ選手は数日後の対ミシガン州立大の試合で、12タックルという快挙を収め、チームを勝利に導いた。「どんな逆境にも挫けない青年」、悲しいながらも非常にインスピレーショナルなストーリーだ。アメリカのスポーツファンやメディアは、こぞって彼を賞賛した。

Manti Te'o

だが今回、人気スポーツブログ「DeadSpin」の調査で、そもそもLennay Kekuaという女性自体が存在せず、架空の人物だったことがわかった。ここで問題となっているのは、テオ選手がすべてを知ったうえで話を捏造していたのか、それとも誰かにまんまと騙されてしまっただけなのか、ということだ。

捏造疑惑の報道に対して、テオ選手は次のように語った。

彼女とはオンラインで出会い、電話やネットでやり取りしていた。自分が誰かの病的なジョークの犠牲者になったということがわかり、苦しいと同時に恥ずかしく思う

彼曰く、Twitterや電話を通して交流するうちに、本当の恋心が芽生えていったらしい。あくまでも彼女のことを本物だと思っていたという主張だ。さらに大学側も16日に記者会見を開き、「テオ選手が実際に彼女に会ったことは1度もない」と正式に発表。第三者がLennay Kekuaという架空の女性を作り上げ、テオ選手を騙していたとした。

確かに、ありえない話ではない。今の時代、オンラインのやり取りだけで恋に落ちる人もたくさんいるだろうし、なりすましも簡単にできる。ただ、テオ選手のこれまでの発言やメディアの報道をみてみると、どうもつじつまの合わない点が多いような気がする。

被害者?それとも…?

例えば、インディアナ州の地元紙「South Bend Tribune」の当時の記事(疑惑が発覚する前)によると、「2人は2009年の秋に“スタンフォード大のスタジアムで出会った”」としている。この情報は、同紙がテオ選手の父親から直接聞いたとされているものだ。テオ選手自身も、10月のテレビ番組のインタビューで、「これまでに出会った女性の中で最も美しい人だった。見た目だけでなく、性格も美しい」と実際に対面したことがある風に語っていた。

さらにノートルダム大の発表によると、テオ選手がすべてが捏造だったという事実を初めて知ったのは、昨年の12月6日。Lennay Kekuaさんになりすましていた本人、あるいはその関係者から、直接彼のもとに電話がかかってきたのだという。

しかしその2日後のハイズマン賞セレモニーで、報道陣から「今シーズンの忘れられない瞬間は?」という質問を受けたテオ選手は、「恋人の死を知った瞬間」と答えた。

一体どういうことだろうか。大学の言い分が正しければ、テオ選手はセレモニーの日にはすべてを知っていたはずだ。恋人との感動ストーリーが勝手に独り歩きしてしまい、引くに引けなくなってしまったのだろうか?

今回の騒動に関してネット上では、テオ選手を擁護する声もあるものの、彼や大学関係者が指揮した話題作りだろうとする見方が多い。

ただ、話がここまで大きくなってしまった原因はメディアにもあるのかもしれない。テオ選手と恋人の死については、AP通信やCBSをはじめ、ニューヨーク・タイムズ紙、ボストン・グローブ紙など、米の有力メディアがこぞって大々的に報道してきた。これだけの大手メディアがそろっていながら、誰一人として亡くなったとされていた恋人の素性を調べたり、家族や関係者にコンタクトを取ろうとしたりしなかったのだろうか?

アメリカのカレッジフットボールは国民の注目度が高く、強豪大学の試合には多くの報道陣が詰めかける。しかもそのスター選手ともなれば、メディアへの露出はプロスポーツ選手並み。テオ選手も試合の度に、恋人について幾度となく尋ねられた事だろうと思う。

今回の架空彼女騒動。テオ選手は首謀者だったのか、それとも本当に騙されていたのか?どちらにせよ彼もある意味“犠牲者”なのかもしれない。

ソース:「deadspin.com」、「cnn.com

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