ヨルダンで29日、政府が現在進めているインターネット規制法案への抗議活動として、大手ニュースサイトをはじめとする多くのウェブサイトがブラックアウト(機能停止)を決行した。
ヨルダンは、中東のなかでもメディアやネットに対する規制が緩やかな国で、一部では「中東のシリコンバレー」的存在へと成長するだろうといわれるほど、IT化が進んでいるという。そんなヨルダンで、言論の自由を脅かすかもしれない法案が可決されようとしており、懸念の声が高まっている。
インターネット・報道の自由が危ない
問題の法案は、既成の法律「報道・出版法(Press and Publications Law)」に改正を加えようとするもの。反対派の主張によると、もしこれが可決された場合、政府による「国外サイトの遮断」や「コメントの検閲」が可能になり、インターネットの自由が著しく規制される可能性があるらしい。今回のブラックアウトは、この法案に反対するデモンストレーションで、ヨルダン国内の数百のニュースサイトやブログが参加した模様。
この日、ヨルダンの人気ニュースサイト「7iber.com」にアクセスすると、次のようなページにリダイレクトされた。
ページには、「ヨルダン報道・出版法、及び政府のインターネット検閲政策に基づき、本サイトコンテンツへのアクセスが拒否された可能性があります」というメッセージが記載されている。
ブラックアウトのゴールは、世界からの注目を集めることにあるらしい。海外の主要メディアが今回のブラックアウトについて取り上げることで、ネット規制に対する反対世論が高まり、ヨルダン政府が法案可決を見直すことを期待している。しかるべき海外機関から反対の声が上がれば、ヨルダン政府も聞かざるを得ないだろうということだ。
法案の概要
改正法案に関して反対派が懸念するのは次のポイント:
- メディア検閲:
ヨルダン報道・出版法に違反するインターナショナルサイトをブロック。政府の都合で、ヨルダン国外のウェブサイトがブロックされる可能性がある- ユーザーコメントの制限:
オンラインのコメントを監視・検閲。コメントを管理する義務はサイト運営者にある。また運営者は、受け取ったコメントを最低6ヶ月間、システムに保存しなければならない- 不透明性:
法案によると、規制の対象となるのは「オンライン・メディア」となっている。どこまでをオンライン・メディアとするのかが不透明。SNSや画像・動画共有サイト、ブログなども含まれる可能性がある- 束縛:
ウェブサイトに「プレス・アソシエーション」への参加・登録を義務付ける
こうみると、中国のネット検閲システム「グレート・ファイアウォール(金盾)」とそれほど変わらないような厳しさだ。ただ、あくまで“反対派”からの見方なので、多少過大解釈 されている部分もあるかもしれない。
参考記事: 「techcrunch.com」
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