反プーチン運動を牽引するソーシャルネットワーク

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Bolotnaya square Russia
photo by mpeake
12月11日、ロシアのプーチン総理大臣は、どんな気分で朝を迎えたことだろう。12年前に「ロシア統一党」が政権を樹立して以来、最大規模となる反政府デモ活動が、モスクワをはじめとする都市部で勃発している。10日には、数万人規模のデモ隊がクレムリンの前に集合し、「プーチンは盗人」、「プーチンなきロシアを」などと口々に叫び、現政府に対する怒りをぶちまけた。

どうやら、「ネットがもたらす政治革命」という世界規模のトレンドは、ついにロシアにも飛び火しつつあるようだ。反プーチン政権の活動家たちは、ソーシャルメディアやブログを巧みに利用し、反政府デモに燃料をつぎ込んでいる。

事の発端は、12月4日に行われたロシア下院選挙での、現与党による不正行為にある。水増し投票などの不正行為を捕らえた映像が、YouTubeやブログなどのソーシャルメディアに流出し、市民の怒りが爆発。正当な再選挙を求める声が、ロシア各地に広がった。選挙翌日の12月5日には、首都モスクワでおよそ5千人規模のデモ活動が行われている。このような大人数をわずか1日という短期間で集めることができたのは、ソーシャルネットワークの流布性に寄与するところが大きい。

そして10日、氷点下の寒さの中、約3万人の市民がモスクワの中心部に集結した。ロシア警察の発表によると、逮捕や暴力沙汰など何事もなく、午後6時にはデモは平和に解散したという。その他30以上の都市でも、数万人がデモ活動に参加したようだ。参加者はスマートフォンやタブレットを使い、デモの様子をリアルタイムでソーシャルメディアに投稿し、世界中の注目を集めることに成功した。現在、ロシア統一党に対する不満は、世界規模で高まっている。

モスクワデモ翌日の11日、メドベージェフ大統領は、Facebookを通してデモに対する意見を伝えた。その中でメドベージェフ大統領は、「私は、今回のデモ活動で示されたスローガンや申し立てには賛成できない」と政府の基本方針を述べた。また、不正選挙の事実確認を進める方針を明らかにしたが、どの組織が行うのかなど、詳細については一切触れていない。

この大統領のコメントに対し、わずか50分の間で、1000件を超えるレスポンスがユーザーから寄せられた。その多くは、「恥を知れ!」や「信用できない!」などの批判コメントだ。ソーシャルメディアを介して、デモ活動の主な参加者である若者層向けに発した大統領からのメッセージだが、皮肉にも反政府の団結力を強める結果に終わったように思える。次の大規模デモは、24日のクリスマス・イブに行われる予定だ。

今後の展開は?

デモが政府に突きつけた主な要求は、5日のデモで逮捕され、拘束中の活動家の解放、議会再選挙の正式な実施、中央選挙委員会議長Vladimir Y. Churovの追放、不正選挙の早急な事実捜査などである。

一方でロシア政府には、市民の要求に従うような気配はみられない。ロシア中央選挙委員会の役員は、選挙結果は金曜日に正式に記録されており、それを無効にする必要性が見当たらないと主張する。

実際のところ、「アラブの春」のような政変がロシアでも起こるとは考えにくい。プーチンは都市部以外ではいまだに多くの支持を得ている。信じがたいことだが、今回の不正選挙や首都モスクワでの大規模な反政府デモについて、一切聞かされていない国民も多くいるという。ロシアの地方と都会では、情報格差が激しく、農村地方などではインターネットネットがそれほど普及していないためだ。さらに、ロシアの国営放送は、ロシア統一党、つまりプーチンのスポークスマンとも言える存在で、党の不利になるような報道は一切しない。今回のデモについても、まったく報じていないようだ。

「アラブの春」では、TwitterやFacebookを通して、アフリカ・中東全域に革命の機運が急速に広まった。ネット規制の厳しいシリアやサウジアラビアなどでは、「ダークネット」上に存在する極秘のソーシャルネットワークを活用して、運動を進めているという。また、「ウォール街を占拠せよ」運動でも、ソーシャルメディアは呼びかけの場として活躍している。

ロシアの場合も同様で、ソーシャルネットワーク活動が、現時点でのデモ活動の原動力となっている。世界中の注目が集まる中、ロシア統一党がデモに応じて再選挙を行うのか、それともイランやトルコのようにネットの弾圧を開始するのか、これからの展開に注目したい。

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